都市で暮らす人たちが排出する下水に含まれるウイルスの量を測定する「下水疫学」。北海道大大学院工学研究院の北島正章・准教授(38)らにより調査手法が改良された。北島さんによると、これまでの100倍相当の感度でウイルスを検出できるようになった。
新型コロナウイルス感染の第7波では、患者を全数把握する作業が、医療機関や保健所の業務を逼迫(ひっぱく)させているとして、全国知事会などは早急に見直すよう国に求めている。改良された方法を使えば、全数把握に代わって感染動向を把握できる可能性があるという。
「下水疫学」という用語は2020年春、北島さんと、東京大大学院時代の先輩、原本英司・山梨大大学院教授が考案した。2人は日本でのこの分野での草分けとして知られる。感染症の患者の糞便(ふんべん)にはウイルスが含まれており、下水の中の遺伝子を検出して分析すれば、その都市全体での感染者の発生動向がつかめるというものだ。
北島さんは、世界保健機関(…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル